消して、リライトして。

バイトでした。

なんていうか、自分がいやになった日。

たまに電話をかけてくる子がいて、その子はなんかへんなしゃべりかたをするんですよ。

ものすごい早口で、全然ききとれない。

しかも同じ内容の質問をずっとしてくる。

数学のチャート式なんですがね。

さっき丁寧に答えたところをまた電話で聞いてくる。

正直腹が立っていました。

もうかけてくるなと。

こっちはうんざりしてると。

しかし今日彼がパーキンソン病だということを知ったとき、まずはじめに同情に近い気持ちが浮かびました。

そしてそんな自分に嫌気がさしました。

それは同情というよりあわれみに近い感情だったからです。

「可哀相だ」と思ったんですな。

俺が彼の何を知っているのか。

自分がそんな病気になったとき、チャート式に手をつける気には絶対ならない。
することといえば病気をのろい、意思のうまく伝わらない体をのろうぐらいでしょう。

尊敬すべき子なのに、そんな子にあわれみの感情を一瞬でも向けた自分が、いやに小さく見えた。

そして彼に対して今まで向けていた気持ちを思い出し、それでまたいやになった。